住まいの可能性を工夫によってどんどん引き出したい

 今、『リサイクル』や『リメイク』、『リユーズ』といった『Re』と言う言葉が環境という面でも、大きく取り上げられ、そして一般的にも広がりつつあります。建築の世界も例外でなく『リフォーム』という形が、テレビ番組や雑誌を見てもわかるように注目されています。

 愛着のある、時間を経たものを大切に使い続けることは、とてもいいことと思います。全てを古いままでとか、全て新しくというのではなく、まだまだ使えるものや、想い出のあるものを残しながら、全体として形を変え現代の生活(ライフスタイル)にあった家とする。

 
私たち、まちの設計屋さんは、京都という歴史のある強いアイデンティティーをもった街で事務所をかまえ活動しているので、奥行きさや時間といったものを自然に意識してしまいます。そういった意識は自分達の街に対してだけではなく、ご依頼者の方の想い出といったところにまでおよびます。ただ単純に、建物の外観を残したり、大黒柱を残したりというものでなく、ご依頼者の方の記憶をわかる形で残したいと私たちは考えています。繰り返しになりますが、私たち、まちの設計屋さんが一番考える事は、ご依頼者の方が何を大事にされていて、何を改善したいのかということなのです。

 そういう意味でも、新築にしろ、リフォームにしろ、新しい家つくりというのは、住まい(ライフスタイル)そして自分や家族の記憶を見つめ直すことなのです。私たち、まちの設計屋さんのお客さまの声でも、家(住まい)つくりが夫婦や家族のお互いを見つめ直すいい機会になったようで、「今まで家の中にお父さんの居場所がなかったのね」とか「こんな不便なキッチンでよくやってくれていたな」と気付いたことも多いとのことでした。

 住まいの形は工夫によってどんどん可能性を引き出し、家族生活に活性化をもたらすことにもなります。新しい住まいの中で素敵な歴史(記憶)を刻んでいただくお手伝いを私たちまちの設計屋さんは応援しお手伝いいたします。


リフォームの手段…家族の生活と現場の状況をよく把握して

 リフォ−ムの動機はいろいろあります。主には、『住まい』の現況が家族の生活に合わなくなったり、不具合が生じてきたことによるものです。それでも、それが部分的な不具合や劣化、故障であれば修理や修繕で解決できます。

 しかし、家族の生活に合わないとなると大幅に住まいの形を変えることが必要になります。 その対策として、1つは、現在の住まいを大改造して新たな住まい方ができるようにリフォ−ムする方法です。もう1つは、絶対的な広さや環境条件等が満足できない場合の対策で、適切な条件の中古住宅やマンションを購入し、家族の生活に適した“住まい”の形にリフォ−ムする方法です。

 いずれにしても家族の新たな住まい方(ライフスタイル)へ対応するリフォ−ムは、家族の生活と現場の状況をよく把握し、住まいに求めるものをはっきりさせておくことが大切です。

 
◆光の入らない窓を逆に取ってしまい
■改装前: 写真に映ってる左上のカレンダーのかかっている窓は、以前に増築した際にか、光の入らない窓となっており、面積の割には圧迫感を感じる空間でした。

■改装後: 窓は完全にとってしまい、壁・天井に珪藻土を塗廻し、腰壁には安価の割に上質なタイルを貼り、すっきりとした空間に改造。また、便器上部の天井形状を細工し間接照明とすることによって、やわらかい雰囲気のあるトイレに生まれ変わりました。

◆お金をかけずにオリジナル
■改装前: 既製品の洗面台を使っていましたが、間取り等が考慮されていなかった為、小さな空間の中でも、もったいないと思うような余分なスペースがありました。

■改装後: 洗面ボールは既製品を使用しつつ、カウンタートップを栃の木を使用することによって、かわいいオリジナルの洗面台に出来あがった。壁かけのミラーは、お施主さんのお友達からの改築祝いのプレゼント。

◆できるだけ既存部分を利用して
■改装前: 京都市北区にある悉皆屋(しっかいや=和服のデザインに関わる染物業)さんの町屋のリフォーム。リフォーム前の写 真です。 工事前は、軒の出が浅い下屋に、アルミ製の既製品カーポートでした。

■改装後: 出来るだけ既存部を利用し費用をかけずにリフォームすることを心がけて設計しました。 軒(1階下屋)の出を補強をかねてめいいっぱい道路まで延ばしカーポート機能も取り入れて軒先をそろえスッキリとした京都らしさのある新町屋の形を実現させました。また深い軒の出を待たせる事でコントラストをつけて落ち着きのあるファサードになりました。
 2階部分は、壁の位置をそのまま、出窓の出もそのままでワイドだけを広げ、部屋内に明かりを多く取り入れると共にこれまた京都の町屋らしさを出しました。

◆お施主さんのデザインもそえて
■改装前: 1階部分の既存の状態の写真です。

■改装後: 壁の色は1階2階共通 で、お施主さんの好きな京染めの伝統色としました。土間・アプローチ部分の市松模様は、お施主さんご夫婦のデザインで、モルタル押えと那智黒石ちらしで仕上げました。
 
◆改装の前の京都の路地は…
■改装前: 京都には路地がたくさん存在しますが、ここも京都特有の路地がありました。工事前は、コンクリートブロックの壁の路地だったので大変暗く圧迫感を感じる空間でした。

◆改装後、京都の路地も…
■改装後: プロもびっくりのお施主さんのアイデアとデザインで完成しました。コンクリートブロックの壁は竹を組んで隠し、アプローチになる床は縁石・飛石をホームセンターで買ってきた御影石を敷きました。安価で手間をかけずに上品で明るく気持ちの良い路地空間に生まれ変わりました。

◆リフォームには切り離せない構造の問題
■改装前: リフォーム前は京都町屋特有の急勾配の階段でした。 こういった急勾配の階段でお困りの方も多いのでは?。

■改装後: 急勾配を解消するというのが一番の目的。この工事は、解体工事が済むまで既存の構造がわからなかったので、既存の構造の形状が見えてからデザインを決める形となりました。 新築の場合は、デザインと平行して構造も初期段階から考えていきますが、こうしたリフォームの場合、ある程度解体が終わってから、どうするか考えるって形になることも多いです。 地球上に何かものを作る以上、重力というものは必ず影響してきますし、デザインで軽く見せたり浮かせて見せたりすることはできても、建物自体を宙に浮かすのは物理的に無理です。 そこで、構造は必ず検討しなければいけなくなります。 むやみやたらと余分に取り壊してしまってもいけませんので、やはり現場の状況を理解するとともに、ご依頼者の方が何を望んでいるのかを把握し、それからどのような形や方向にするのがもっともいいのかを考えていくことが重要です。そういう意味でもデザインや工事する前のご依頼者の方との打合せというものはたいへん大切です。 また、余談ですが、木造の在来工法というのは、同じ木造の2×4工法(ツーバイフォー)工法やRCの壁式構造に比べて、間仕切りを変えたりリフォームしやすい構造です。ここ数年でようやく日本でもリフォームという考え方が普及しはじめましたが、日本では今まですぐに壊しては新しいものを建てていましたね。でも日本の伝統的な木造の在来工法というのは、性質的には、リフォームして使いつづける建築にもってこいの性質なのです。 私たちのご先祖様たちはスゴイ!!

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